序破急

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じょはきゅう

能の藝のリズムに関する概念。 もとは、古典芸能の舞楽についての理論を世阿弥が能に援用したのが、能における序破急の概念のはじめである。

現在では、能の様々な演出において、序から急へとだんだんと運びを早めていくことを主に指して言う。 一曲全体・一つの小段・一句の謡などに序破急があり、演者の動きにも序破急がある。

たとえば、十二文字一句の謡では、上の七文字が序破でゆっくりと謡い始めてだんだんと早め、下の五文字を急としてノリ良く謡い止める。また、演者の動きで、ただ前進するだけの動きの中にも、最初はゆっくり、だんだんと運びを早め、最後は急調子になり止めるといったリズムがある。

この序破急を意識した演出によって、能は平面的で単一的でない、抑揚のある演技を生み出している。

なお、世阿弥の能楽論では、一回の催しの中に序破急があり、最初の曲は序、二、三番目あたりから破になり、最後の曲は急にあたり、動きの多い曲を演じる、と論じられている(『風姿花伝』「問答」第二条・『花鏡』「序破急之事」)。

また世阿弥は、伝書『拾玉得花』第五条において、「舞袖の一指し、足踏の一響」など、わずかな動きや音にも序破急があるなどと説いており、序破急について、『風姿花伝』『花鏡』よりもさらに論を進めている。