帚木

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ははきぎ


画題

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解説

東洋画題綜覧

源氏物語五十四帖の第二、源氏物語の大序ともいふべきもの、即ち光源氏十六歳中将と聞えた時のことを記したもので、巻の名は末段にある空蝉の歌

数ならぬふせ屋に生ふる名のうさにあるにもあらず消ゆる帚木

から来てゐる、有名なる雨夜の物語は、此の中にあつて、源氏や頭の中将など桐壷に宿直して女の品定めなどする、絵にかゝれるのはその宿直の物語する処である。

しめやかなる宵の雨に、殿上にもをさ/\人ずくなに、御宿直所も例よりはのどやかなる心地するに、御殿油近くて、書どもなど見給ふついでに近き御厨子なる、いろいろの紙なるふみどもをひき出でて、中将わりなくゆかしがれば、さりぬべき少しは見せん、かたはなるべきもこそと、ゆるし給はねば、そのうちとけて片腹いたしと思されんこそゆかしけれ、押しなべたる大かたのは数ならねど、ほど/゙\につけて、かきかはしつゝも見侍りなん、おのがじしうらめしき折々、待顔ならん夕暮などのこそ見所はあらめと怨ずれば、やんごとなく切に隠し給ふべきなどは、かやうにおほぞうなる御厨子などにうち置きちらし給ふべくもあらず、深くとり隠し給ふべかんめればこれは二のまちの心やすきなるべし、片端づづ見るに、かくさま/゙\なるものどもこそ侍りけれとて心あてに、それか、かれかなど問ふ中に、言ひ当つるもあり、もてはなれたる事をも思ひよせて、疑ふもをかしと思せど言ずくなにて、とかく紛らはしつゝ隠し給ひつ。

と艶書など取り出して互に見る、品定めはこれから始まる。

帚木は源氏の主要な巻なので、絵に書かれたものも少くない。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)