宗岡秋津

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むねおかの あきつ


画題

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解説

前賢故実

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延喜十七年十一月、試験に及第し、帝は秋津の老齢を憐れみ、特別に彼を誉め称える詔を下した。秋津は御恩を拝し舞を踊り、大いに有り難く押し戴いた。宮殿から退出してから、歌いながら歩いて建礼門前に至ると、忽ちに句を思いつ声を出して詠んだ。「今宵奉詔歓無極(今宵は詔を奉じたことで、これ以上ない喜びを感じた)、建礼門前舞踏人(建礼門の前で舞を踊る幸せな人だよ)」と大きな声で唱え止まなかった。衛士たちに叱られて、秋津は「新しく進士になった某」と名乗ったが、衛士たちに「馬鹿な老学生、どういう理由で禁門で無礼を働くのだろうか」と罵られた。秋津は、衛士たちの言葉に驚き、自分のしたことを悟り、その場から逃げた。帝はこれを聞いて益々秋津のことを憐れんだ。これにより秋津は参議、左大辨にまで栄進した。

(『前賢故実』)