六祖負金

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ろくそきんをおう


画題

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解説

画題辞典

江西の志徹禪師は姓は張氏名は行昌、少くして任侠なり、禪宗南北に化を分ちてより二宗の主彼我なしと雖も徒侶奔つて愛憎を起す、時に北宗の門人神秀師を立てゝ第六祖となす、然も慧能大師の伝衣は天下の聞く所とならを忌む、然れども祖は之れ菩薩なり、あらかじめその事あるを知り金十兩を方丈に置く、時に行昌北宗門人の嘱を受け、刃を懐にし、祖の室に入り害を加へんとす、祖頸を延べて之に就く、行昌刀を振ふこと三度、都べて損する所なし、祖曰く正劒は邪ならず邪劒正ならず、只汝が金を負うて汝が命を負はずと、行昌驚き介れ、やゝありて方に蘇生す、即ち哀みを求め過を悔いて出家せんと願ふ、祖之に金を與へて曰く、汝暫く去れ、恐らくは徒衆却つて汝を害するあらん、他日形を易へて来るべし、吾れ正に攝受せん、行昌旨を禀けて遁れ去る、終に僧に投じ出家して具戒精進す、一日祖の言を憶うて遠くより来りて禮覲し、間答機縁相契ふ、祖曰く汝今徹せり宜しく志徹と名づくべし云云。

(『画題辞典』斎藤隆三)