傾城.

総合

　廓に身を置く遊女たち。厳密には、大夫とよばれる格式の高い遊女を傾城という。

　江戸時代の傾城は教養もあり、洗練された美しさを持つ最高の女性だったので、この役柄は、色気と同時に貫録や品位といったものが要求される。 立兵庫または伊達兵庫とよばれる、阿弥陀のような鬘に櫛笄を差し、豪華なうちかけを着る。場合によっては、体の前に俎帯をつける。うちかけの重さにひっぱられて後ろに倒れるのを防ぐためのものである。廓内の道中では、三枚歯の高い木履を履き、八文字という独特の歩き方をみせる。

『歌舞伎ハンドブック第三版』三省堂　1994/7/20