主馬介卜部季武

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◇卜部季武の伝承

 頼光の郎等に卜部季武という、糸で下げた針をも射ることができる弓の名人がいた。季武の従者に勇猛な武人がいたが、あるときこの男が「針を射ることはできても、三段(約三〇メートル)離れた私を射ることはおできにならないでしょう。」と言った。季武は、もし射外したならば、男の欲しいものを何でも与えるという条件で、勝負にのぞんだ。 季武は、よく狙って射たが男の左の脇を五寸ほどかすめて外れてしまい、約束どおりさまざまのものを男にとらせた。男が、「もう一度射てご覧なさい。」というので、今度こそはと射てみると、やはり左の脇を五寸かすめて外れてしまう。男は「人間の体は太いと言っても一尺には充たない。あなたは、それを真ん中を狙って射る。弦の音を聞いてから五寸は避けることができる。だから、そのつもりで射なくてはいけないのだ。」と言った(「古今著聞集」巻九)。


<引用文献>

 志村有弘・松本寧至 編『日本奇談逸話伝説大辞典』、勉誠社、1994年2月