お染久松色読販

提供: ArtWiki
移動: 案内検索

おそめひさまつうきなのよみうり


総合


歌舞伎

文化10年(1813)3月江戸森田座初演。世話物、三幕八場。通称『お染の七役』。四世鶴屋南北作。  お染久松物は、「新版歌祭文」までほぼ定型ができていたが、それを自在に組み替えて、新しいお染久松劇へと脚色し直している。眼目は、当時流行していた早替わりの技術を存分に取り入れ、美貌の女方半四郎に身分や年齢を異にする七役を演じ分けさせる点で、舞踊をあまり得意としない半四郎の魅力を存分に引き出した。  このようなケレンの技巧の駆使によって生み出されてくる面白さに加えて、江戸の町の最底辺にあり、自ら欲望の赴くままに行動するという喜兵衛やお六らのような悪党の魅力をいきいきと描き出されている。

あらすじ

<序幕> 石津久之進は千葉家の重宝吉光の刀を盗まれ切腹。子の久松は百姓久作に引取られ、瓦町の質屋油屋の丁稚となり、油屋の娘お染と相思相愛の仲となる。 刀を盗んだ犯人の鈴木弥忠太は、深川の芸者お糸に夢中となり、鬼門の喜兵衛に頼んで、刀と折紙を油屋に質入する。喜兵衛はその金を着服する。 油屋の番頭善六は、お糸に惚れているお染の兄多三郎をそそのかし、折紙を盗み出させた上、追い出し、お染と夫婦になって油屋を乗っ取ろうとするが、丁稚久太郎に計略を知られ、騙して駆落ちさせる。 折紙を久作が売りにきた嫁菜の苞に隠したため、久作は善六と喧嘩になり、油屋下男九介になぐられる。松本屋左四郎の仲裁で久作は膏薬代と質流れの袷をもらう。 破れた袷を縫ってくれとお六に頼む久作の話を聞いた喜兵衛夫婦は、袷と行き倒れの死骸を種に油屋をゆすろうとする。 <中幕> お六・喜兵衛は死骸を油屋の店にかつぎ込んで、弟が善六に打たれて死んだと強請りにかかる。しかし、さらに久作が折紙を持ってあらわれ、お染の許嫁でその場に来ていた薬種問屋山家屋清兵衛の力で久太郎が蘇生し、騙りそこねる。15両を手に入れた二人は、籠を担いで入る。 油屋後家貞昌は、山家屋清兵衛への義理から身重となったお染と久松に意見し、久松を土蔵に押込める。お染めは、情死を示し合せるため、久松に書置をわたす。 一方、弥忠太を殺した喜兵衛が刀を盗み土蔵を切破って逃げるのを久松が追って、喜兵衛を殺す。久松は、家出したお染のあとを追う。 <大詰> 猿回し佐次郞兵衛を相手に狂女となった久松の許嫁お光と賤の女お作の所作事「心中翌の噂」。隅田堤でお染を追いついた久松は、刀と折紙を手に入れ、無事助けられて幕。