長谷雄双紙

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はせおそうし


画題

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解説

東洋画題綜覧

絵巻物の名、一名を『紀長谷雄草子』といふ、文章博士紀長谷雄に関する伝説を図せるもの、その梗概を記すと、長谷雄、或日の夕、禁裏に参向の途中一人の見知らぬ男に会ふ、件の男、長谷雄と双六を打たうといふ長谷雄は怪しみながらもこれを諾して朱雀門の下に到り、その楼上で若し長谷雄勝てばかの男長谷雄に美しき上臈を送り、男勝てば、かの男に宝を与へることを約す、勝負を争ふと、長谷雄頻に勝つ、かの男焦立ち遂に鬼形の姿を現はした、長谷雄はさあらぬ体でなほ勝負を争つたが遂に勝続けてしまつた、男は約の通り美しい女を送つて来たが、その日から百日の中は会はぬやうにといふ、長谷雄もこれを約したが、百日が待遠しく八十日ほどで女と会つた、すると不思議や、女は忽ち水となつて流れてしまつた、男は朱雀門の鬼であつた。

筆者は飛騨守惟久といひ、又左近将監行長ともいふ、東京帝室博物館にその模本を蔵す。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)