B5-5 鶴ヶ丘八幡宮での法楽

「静御前鶴ヶ丘ニ法楽ノ図」
絵師:水野年方 判型:大判錦絵3枚続
出版:明治44年(1911)
所蔵:舞鶴市糸井文庫 作品番号:06ニ10.

【解説】
鎌倉、鶴ヶ丘八幡宮にて舞を披露する静御前の姿が描かれた作品である。源頼朝の命により神前に立った静の舞は見事なものであり、人々が感動する中、静は以下のように歌い上げる。
  しづやしづ賤のをだまき繰り返し昔を今になすよしもがな
  吉野山嶺の白雪踏み分けて入りにし人の跡ぞ恋しき
頼朝の御前でありながら義経を想う歌を詠みあげた静に対し場は騒然となったが、周囲に取りなされ頼朝はその舞を礼賛した。義経の活躍した世に戻す方法はないものか、吉野山で別れた義経が恋しいと義経に対する愛情を仇である頼朝の前で堂々と歌う静御前の様子に人々は共感し、静御前の「義経を深く愛した女性」としてのイメージを固めていったと考えられる。 (川)