研究目的・意義

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 本研究は、これまで本学アート・リサーチセンター(ARC)が行ってきた日本文化を対象とする文理融合型研究や研究環境整備とは異なり、文化資源を活用した地域貢献、国際日本文化理解への貢献など、社会貢献をどのように進めていくかという、新たな課題の解決を目的とする研究である。ARCは、立命館大学改革構想に基づいた全学的な支援の下、戦略的な拠点化を展開し、その結果、文科省21世紀COEプログラム拠点、グローバルCOEプログラム拠点、共同利用・共同研究拠点に採択され、本学全体の研究・大学院教育の高度化に貢献してきた。  これまで展開してきた日本文化研究の更なる段階として、「文化」自体が自立して、新たな生活の豊かさを、場合によっては経済的な豊かさをも生んでいく必要がある。そのため、本研究では、ARCが文理融合型・デジタル型で蓄積してきたデジタル研究資源を活用して、どのように社会に貢献し、新しい文化活動の循環を作っていくかを実践的に研究し、文化研究による社会貢献の実例を具体的に提案していく。

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研究体制

 本研究では、三つのサブテーマによって成立つ。

 ①海外の日本文化関係組織や研究者との連携による日本文化理解の推進(国際貢献)、②京都を中心とする文化産業や文化研究との地域連携(地域貢献)、③既存のARCデジタル資源や①②によってより拡大するデジタル環境の内、単なる蓄積ではなく、広範な活用・応用を実現する情報技術の導入・開発

この三つのテーマを連携させ、それぞれのグループからの代表者による統括組織「社会貢献開発」会議により、各テーマを有機的に連携させる。
 なお、研究の進捗を確認し助言を受けるため外部審査委員会を設置し、毎年の年度末に実施する公開カンファレンスを経て、審査委員会を開催する。

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年次計画

<平成27年>
・日本文化資源のWEB公開に向けた諸問題の解決策の追究。
・型友禅工房の記録、資料の収集・整理。
・ARC所蔵の浮世絵DBのオープンデータ化、閲覧履歴の統計解析とベクトル化の実施。

<平成28年>
・日本文化資源のWEB公開に向けた諸問題の解決策の追究。
・収集した資料群の整理、DBの修正作業。
・ARC所蔵の古典籍DBのオープンデータ化を開始。

<平成29年>
・各所蔵機関との学術連携を拡大。
・デジタル化を実践できる人材を育成。収集した資料群のデジタル撮影を開始。
・DBの修正作業の実施。外部の人文系DBとの多言語間の動的リンク生成を実現し、検索・推薦技術を開発。

<平成30年>
・デジタル・アーカイブ化事業を進め、海外の連携機関との学術連携を拡大。
・収集した資料のデジタル撮影の継続およびモデルケースとなる製品の製作。
・他のDBのオープン化に着手。検索・推薦技術のプロトタイプシステムの改良。

<平成31年>
・国内外の学術機関との連携を完成。
・モデルケースとなる製品の完成。
・DB検索・推薦システムの完成・公開。

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研究により期待される効果

 本研究は、これまでどちらかというと研究者個人の趣味の世界、偏狭な個人研究、というイメージすら持たれてきた人文学の研究に、経済活動や国際理解といった視点を取り込み、文化研究そのものが自立して社会の中での役割を担うという目標のもと、具体的な実践事例を社会に提示することを目的としている。この研究活動により、自分のテリトリーの壁を破れないでいる大部分の研究者らに、社会に開かれた研究手法とはどうあるべきか、地域貢献と国際貢献という2面において、いくつかの実践事例を提案できる。たとえば、国際貢献においては、日本の文化資源デジタル化を実践できる人材を海外の若手研究者の中に育て、これらの人材が国境を越えて連携することで、日本文化理解のための大規模な教育用WEBサイトを実現し、これをNPOとして運営することで参加者の生活の保証もする。このように、国内外のこの分野の研究プロジェクトに効果的なインパクトと軌範を与えることができる。