日本文化情報



2008年3月29日ミュージアムトーク

糸井文庫デジタルアーカイブ完成記念講演会において、ミュージアムトークを実施します。
本サイトでは、それに先立ち、ミュージアムトークで取上げる作品について解説します。

大江山酒呑退治

01ル42
丹後地方の伝説をテーマにした糸井文庫の錦絵の中では、酒呑童子が最も充実していると言えるが、その中でも、名品といってよい作品である。
3枚続の横長画面を使い、酒呑童子と対決する頼光主従を描く。首だけとなってもなお、力の衰えない酒呑童子にたじたじとなっている緊迫した場面は迫力がある。
中央の酒呑童子の画面には文字を配置しないところにも工夫が見られる。

新版浮絵 浦島竜宮入之図

01ル42
北斎の前名「勝川春朗」時代の作品。
春朗を名乗ったのは、1779(安永8)~1794(寛政6)の期間で、勝川派に属して師の春章に倣いつつ、独自の画風が芽生えつつあった時代である。
本作品は、遠近法を使った「浮絵」であるが、空想の世界の竜宮城の様子を客観的な表現である遠近法であらわしたところに面白みがあろう。
なお、本作は、糸井文庫で唯一の北斎作品であるが、春朗時代には使われていないはずの絵の具「ベロ藍」が認められるので、摺られたのは、天保以降であろう。