さぎむすめ
歌舞伎
長唄の舞踊劇。宝暦十二年(1762)二世瀬川菊之丞により初演された。
古来歌舞伎舞踊では、変化物といって一人でいろいろ変った役々を次々と踊りこなす形式が盛んに行われたが、これもその一つ。年代的にいって最も古い。明治になって九世市川団十郎が復活させた。しんとした雪の夜、水のほとりに白鷺の精が娘の姿であらわれる。白無垢に綿帽子という衣裳。淋しいが色気のある踊りがあって、引抜いて江戸の下町娘になり、あとは地獄の責に苦しむ振となる。「京鹿子娘道成寺」とともに、女形の踊りとして重要な曲となっている。