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しぎ


画題

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解説

東洋画題綜覧

鴫はまた鷸の文字も用ひる、鴫目鴫科に属し夏はシベリア方面で繁殖し晩秋に群をなして渡つて来る、かくて一二ケ月は姿を見せるが、又更に南の国へ渡る、特長は嘴が比較的長く、種類に依つては内側に曲つてゐるのもあるし、外側に反つてゐるのもある、焙烙鴫、中杓鴫、大杓鴫、針腿中杓鴫などば前者に用し、反嘴鴫は上に反つてゐる、それから変つてゐるのは篦鴫で、嘴の先がスペート形に拡がつてゐる、脚は長く四指を有してゐるが、唯一種みゆび鴫だけが前三指である、此の長い嘴は、水田や水沢などに降りて餌を漁るに便利なやうになつてゐる、種類極めて多く俗に四十八鴫といふ位であるが、其の中でも草鴫、磯鴫、田鴫、小鴫、当年、山鴫、青鴫、大杓鴫、中杓鴫、雲雀鴫、玉鴫、浜鴫、襟巻鴫、三趾鴫、雷鴫、針尾鴫など知られてゐる。水田等に多く見られるのは、此の鴫といふ文字を見ても知ることが出来る。

鴫は花鳥画の好画材なので、よく画になる、荒木寛畝には『雨中鴫』の名作があり、竹内栖鳳は『秋涼』と題して之を画き、荒木十畝の『林梢文錦』には山鴫が居り、速水御舟の『川霧』にも一羽の鴫を描いてゐる、此の外古画にも四条円山の諸家によく之を見る。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)