鬼一法眼三略巻

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きいちほうげんさんりゃくのまき


総合


歌舞伎

浄瑠璃、五段、時代物。文耕堂・長谷川千四合作。享保十六年(1731)竹本座。 「義経記」に取材し、弁慶の生立ちより五条橋で牛若、弁慶が主従のちぎりを結ぶまでを脚色。こんにちは三段目「菊畑」、四段目「大蔵卿」が演ぜられる。 鬼一法限の館に、牛若、鬼三太(きさんた)の主従が虎蔵、智恵内と名を変えて中間に住み込み、兵法三略の巻を奪おうとする。鬼一は虎蔵を牛若と見破り、娘の皆鶴姫の恋する虎蔵に虎の巻を授け、源氏の再興を祈って自害する。虎蔵の若衆、智恵内の色奴(いろやっこ)の対照が見どころ(菊畑)。一条大蔵卿の寵を受ける常磐御前が、平家調伏していることを知った勘解由は、清盛に注進しようとする。作り阿呆になっていた大蔵卿はこれを切り捨て、源氏再興に心を尽くす常磐御前や鬼次郎夫婦に、源氏を庇護する本心を明かし、また元の作り阿呆に戻って狂言舞に興ずる(大蔵卿)。この作り阿呆の演技を、中村吉右衛門が得意とした。