野郎歌舞伎~元禄歌舞伎

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やろうかぶき


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歌舞伎

野郎歌舞伎の特徴

承応元(1652)年に若衆歌舞伎が禁止されるが、翌年、若衆のシンボルである前髪を剃り落とし、野郎頭になることを条件に再開されることとなった。

物真似と狂言づくし

  • 若衆歌舞伎禁止後、歌舞伎の再興を願い、「物真似狂言尽」と名称を改めることで上演を許可された。(『南水漫遊』

⇒だが、当時の資料から「物真似狂言尽」という用例はでてこない。「きょうげんつくし」だったヵ。(『古今役者ものがたり』、『大和守日記』) ⇒「物まね」は写実的演技を指す。遊女、若衆歌舞伎の時代にみられるような色気を強調した内容ではなく、徹底した芝居だけをみせるという意味で用いられた。

  • 容色本位の歌舞伎から写実的な演劇へと変化する。

島原狂言

⇒明暦四(1658)年六月二十七日条に禁止。

放れ狂言

  • 大和守日記』によればこの時代の狂言はほとんどが一幕ものだということがわかる。

続き狂言

  • 寛文四(1664)年に上方では大坂荒木与次兵衛座「非人敵討」、江戸では市村座の「今川忍び車」がその嚆矢だといわれている。(『古今役者ものがたり』、『舞曲扇林』)
  • 浄瑠璃に学んで多幕ものの舞台構成を用いるようになった。(『大和守日記』)
  • 元禄期になると、上方では三番続き、江戸の中村座、市村座では四番続き、山村座、森田座では五番続きという定型が生まれる。

役柄の分業

元禄歌舞伎の特徴

元禄時代は、京都を中心として歌舞伎の一つの頂点を示す。

定式舞台の成立

  • 芝居町の成立

【江戸】 中橋→祢宜町→上堺町 寛文元(1661)年十二月御触書によって堺町、葺屋町、木挽町五丁目以外の土地では歌舞伎の興行が禁止される。 中村座、森田座、市村座、山村座(正徳四(1714)年廃絶) 【京都】 四条河原西岸(寛文十年以降東岸) 【大坂】道頓堀 ⇒いずれも水運と関連がある。

作者の誕生

■井原西鶴 ■近松門左衛門 ■富永平兵衛

名優の誕生

出版物の刊行(番付絵入狂言本評判記

「事」の成立

出典

①『南水漫遊』浜松歌国著 文化末年頃成立

物眞似狂言尽名目 承應元年六月かぶき御停止仰附られ役者共皆々難澁におよび候に付段々御願ひ申上候所 翌二年三月役者物眞似物真似狂言尽といふ名目にて京大坂とも免許ありしより 芝居木戸口の上に将棋の駒の如く成る札に物まねと書記したり 是櫓免許の札にして外の芝居事叶はず 物まねとは聲色を似するにあらず老若男女貴賤僧俗それ/”\の物を眞に似する事也

②『大和守日記』明暦四年四月

  • 四月十六日「島原」
  • 四月二十二日「島原」 とん三郎
  • 四月二十二日「島原」 わか衆道心
  • 四月二十二日「島原」 ふぜうつま
  • 四月二十二日「島原」 わか衆ろん
  • 四月二十二日「かうし島原」
  • 四月二十二日「いせ島原」

③『大和守日記』明暦四年四月二十二日条

一、島原 とん三郎  ほうか やうきうはさみ箱 一、島原 わか衆道心 ほうか 花見(の)とこ 一、島原 ふぜうつま ほうか 門 一、島原 わか衆ろん 以上 (しよもう) 一、かうし島原 ほうか そろばん 一、いせ島原 やくしや 若女房 るいの助、権八、左近、とのも、吉十郎 かふろ 三人 きやうけんし 勘左衛門、七左衛門 なしらず 一人 女かた かゝ 善左衛門 かいて 三郎左衛門、武兵衛、太兵衛、左兵衛 名しらず 二、三人 ふへふき一人、たいこ一人、しやみせん二、三人、つゝみ打二、三人

④『大和守日記

寛文元年五月二十一日晩 狂言尽也。三かつがしばいの者来、女かたなどす。 寛文元年極月十一日 △当十月より古伝内座われ、役者大勢取のき、新芝居狂言つくし取立申候 寛文十年正月十八日 何も狂言尽の芝居にてする狂言のしくみの歌 寛文十一年十一月二日 木引町河原崎と森田勘六、二座頓てより狂言尽興行の由

⑤『舞曲扇林

廿二年以前に大坂にて浅之丞という和者がた、後に弥五左衛門といへり、狂言の作者也、此弥五左衛門 ひにんかたき討 といふ二番続はじめて致しける。

⑥『大和守日記』寛文四年五月十七日条

上野より鳥越へ寄、半袴に辰中刻時分惣泉寺へ振舞、兼約ニ付行、為馳走、操有之太夫肥前掾清政也。 ○上るり かんらの太夫友政 一段 狂言 似せ大黒 付若水おとり 歌 かけゆ 二段 ちりやく妻 付道中清十郎ぶし シテ 藤六 三段 しゆうく座頭 かけゆ 四段 れんかむこ入 くもまい はやゆさおとり 中入 料理出

参考文献

  • 若月保治『近世初期国劇の研究』(青磁社、昭和19年)
  • 芸能史研究会編『日本庶民文化史料集成』12巻(三一書房、昭和52年)
  • 『歌舞伎評判記集成』第Ⅰ期(岩波書店、昭和47年)
  • 『家乗』(清文堂出版、昭和59年)
  • 松崎仁『元禄歌舞伎の研究』(東大出版会、昭和54年)
  • 竹内道敬『近世芸能史の研究』(南窓社、昭和57年)
  • 鳥越文蔵『元禄歌舞伎攷』(八木書店、平成3年)
  • 武井協三『若衆歌舞伎・野郎歌舞伎の研究』(八木書店、平成12年)

歌舞伎の歴史へ 投稿者:松葉涼子:8pro 2010年4月12日 (火) 20:21 (JST)