蜘蛛

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くも


画題

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解説

東洋画題綜覧

蜘蛛は節足動物、蜘蛛類に属し、成体に於ては体は頭胸部と腹部とに二分され頭胸部は環節がよく癒合して解らぬやうになつて居り、前上部には二節から成る上顎を具へてゐる、その第二節は牙状を呈し端近くに毒腺のある口が開いてゐる、又上顎の後下部には、触角のやうな働きをする肢状の触鬚が出てゐる、腹部の第一環節は頭胸部につながるために、細い柄となり、その上面には元来の背板を留持してゐるが、他の環節は完全に癒合してゐる、第二腹節の肢は体内に陥入して書肺といふ呼吸器となり、第三腹節も地蜘蛛、戸閉蜘蛛、きむらぐものやうに書肺に変じてゐることがあるが、気管となつてゐる事が多い、第四第五両腹節の肢は内外の枝があつて甲穀類に似てゐるが、蛛肬即ち紡績突起となつてゐる、うづぐものやうに第四節の内枝が合して、たゞ一本の間肬となり、これが分化を続けて糸を紡出するものもある、蛛肬は内部の糸腺に続いてゐる紡管を多数に有し、これから糸を出す、糸腺は一色でないので糸も数種類に分れて居り、それ/゙\網、かくれ帯、ひき糸、卵嚢等を造る。  (日本家庭大百科事彙)

蜘蛛は種類極めて多く本邦に産するものだけでも三百種に上るが、女郎蜘蛛、蝿取蜘蛛、鬼蜘蛛、袋蜘蛛、棚蜘蛛などはよく知られてゐる。その巣である網は中々巧みなもので、これに露を結んだ風情など如何にも美しく、絵画的雅味があり、更に此の網にかける『かくれ帯』の形も面白いものである。

蜘蛛に関する伝説を骨子としたものに長隆筆『土蜘蛛草紙絵巻』があり、又、花鳥画としては渡辺崋山よくこれを描き、名作としては『黄雀窺蜘』(梁瀬長太郎氏蔵)及『蛛網捕虫』(岡本春邨氏蔵)があり、近くは小茂田青樹に『虫魚絵巻』(第十八回院展出品)があり、中に蜘蛛の巣と女郎蜘蛛が丹念に描かれてゐる。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)