葵上

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総合

葵上(あおいのうえ) 四番目物・鬼女物

『源氏物語』にある六条御息所に葵上・光源氏をめぐっての話を素材とし、女性の嫉妬心が悪鬼となって抗争する力強さが主題となっている。

あらすじ

 光源氏の正妻である葵上に物の怪が憑き、照日という梓巫女にその憑き物の正体を呼び出させようとする。巫女が弓の音を鳴らすと、上臈姿の女性が破れ車の乗って現れた。名を尋ねるとそれは六条御息所という光源氏が契りを結んだ東宮の未亡人の怨霊であった。

 その怨霊は嫉妬心から恨み言を次々と話し出す。御息所は、皇太子妃として華やかな生活を送っていた。しかし夫に先立たれ、後に光源氏と契りを結んだが葵上に光源氏の愛を奪われてしまう。

 病床に臥せる葵上を責め立てる中、横山小聖による祈祷が始まる。すると御息所の霊は鬼の姿となり、小聖に立ち向かおうとする。しかし小聖の懸命な祈祷によりついに祈り伏ふせられたのであった。

場面解説

シテとワキの壮絶な対決、祈の場面である。手杖をふりかざして襲いかかるシテと、刺高の数珠を揉んで祈るワキの一進一退の攻防で、両者は激しくせめぎ合う。祈の後にシテは「いかに行者 はや帰り給へ 帰らで不覚し給ふなよ」と、なおも屈せずワキと闘う。しかし、最後には「あらあら恐ろしの般若声や これまでぞ怨霊この後又も来るまじ」とシテは言い、祈り伏せられ成仏する。

 シテは般若の面をかけるが、本作品におけるその表情は、狂気や怒りとは他に、深い悲しみも感じさせる。


画題

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解説

画題辞典

葵上は、謡曲にして源氏物語の一なり。源氏物語葵巻に光(ひかる)源氏の嫡妻葵上、加茂祭の日、是れも源氏と情交ある六条御息所と物見車の争いせしが、御息所痛く恥しめられしを怨み、葵ノ上懐妊の節生霊となりてのり移り、遂に死に至らしむるという記事あるを採りしものなり。葵ノ上悩み重りし故、父左大臣、神子によりて六条御息所の怨霊のり移れるを知り、更に横川小聖をして読誦せしめ怨霊成仏得脱する事を仕組みしものなり。処は京都、季は雑なり、尚、「くるまあらそい」(車争)参照せよ。

(『画題辞典』斎藤隆三)