紅葉賀

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もみじのが


画題

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解説

東洋画題綜覧

源氏物語』五十四帖中の一、頃は十月、紅葉の好季とて、桐壷の帝は伶人を数多集めて賀宴を開く、此の時光源氏は青海波の一曲を舞ひ、やがて舞終つて、そつと藤壷の後のかたへより、我が舞姿を御覧ありしかと文を通はす、藤壷は玄宗皇帝が曲にたとへて歌を返す、その絢爛な構想は、五十四帖中でも稀に見る処である。一節を引く

こだかき紅葉のかげに、四十人の垣代、いひしらず吹き立てたる、物の音どもにあひたる松風、まこと深山おろしと聞えて吹きまよひ、いろ/\に散りかふ木の葉の中より青海波の輝き出でたるさま、いと恐しきまで見ゆ、かざしの紅葉いたう散り透きて顔のにほひに比圧されたる心地すれば、御前なる菊を折りて、左大将さしかへ給ふ、日暮れかゝるほどに、気色ばかりうちしぐれて、空の気色さへ見知りがほなるに、さるいみじき姿に、菊のいろ/\うつろひえならぬをかざして今日はまたなき手を尽したる、入綾のほどそゞろに寒く、この世の事とも覚えず物見知るまじき下人などの、木のもと岩かくれ、山の木の葉に埋れたるさへ少し物の心知るは涙堕しけり。

『紅葉賀』を画いた作としては、左に二三を挙げる。

狩野晴川筆      讃岐法然寺蔵

古土佐無款六曲一双  佐竹侯爵家旧蔵

同広守筆       池田侯爵家旧蔵

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)