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きぬた


総合


歌舞伎

下座音楽。樫の木を太撥にて打って、砧を打つ音にきかせる。田舎家や田舎道などに使う。仮名手本忠臣蔵」六段目や「野崎村」など。


画題

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解説

東洋画題綜覧

擣衣ともいふ、『きぬた』は衣板の義か、碪の文字も用ふ、布帛を擣つに用ひる木石の台、打ち板、丸木に布帛を絡ひ、その上にのせて槌で打ち布帛を柔げる、その音哀調を帯び、秋冬の夜のわびしさを偲ばせるもので、歌題画題として行はる。 八月九月正長夜  千声万声無了時     白 北斗星前横旅雁  南楼月下擣寒衣     劉之淑 擣処暁愁閨月冷  裁将秋寄塞雲寒     篤茂 裁出還迷長短製  辺愁定不昔腰囲     直幹 風底香飛双袖挙  月前杵怨両眉低     後中書王 年々別思驚秋雁  夜々幽声到暁鶏     同上 からころもうつこゑきけばつききよみまだねぬ人をそらにしるかな  貫之(和漢朗詠集) 砧を画いた作 松村呉春筆   『砧図』    (重要美術品)  郷誠之助氏蔵 磯田湖竜斎筆  『摂津擣衣玉川』(同)      松方幸次郎氏蔵 横山清暉筆                    波多野古渓氏旧蔵 砧はまた謡曲の名、元清の作で、九州芦屋某の妻、その主人の久しく京に上つて帰らぬを嘆き、おのが思ひを砧によせて、都まで響けと擣つ、然も思ひあまつてつひに空しくなつたが、夫の弔ひを受けて定仏するといふ筋、元清の作、その一節を引く。 「衣に落つる松の声、衣に落ちて松の声、夜寒を風や知らすらん、「音づれのまれなる中の秋風に、「憂きを知らする夕ベかな、「遠里の人もながむらん、「誰が世と月はよも訪はじ「面白の折からや、頃しも秋の夕つかた、「牡鹿の声も心すごく、見ぬ山風を送り来て、梢はいづれ一葉散る、空すさまじき月影の軒の忍ぶにうつろひて、「露の玉垂かゝる身の、「思ひをのぶる夜すがらかな、宮漏高く立ちて風北にめぐり、「隣砧ゆるく急にして月西に流る、蘇武が旅寝は北の国、是は東の空なれば、西より来る秋の風の、吹き送れと、まどほの衣うたうよ。 この情趣を描いたものに上村松園作『砧』(昭和十三年文展出品)がある。 (『東洋画題綜覧』金井紫雲)