百舌鳥

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もず


画題

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解説

東洋画題綜覧

鵙、伯労、百舌は鵙科に属する猛禽で、普通種の外に、稚児百舌、赤百舌、大百舌、大唐百舌、高砂百舌、唐赤百舌などの種類がある。性勇猛で屡々他の小鳥や野鼠などを捕食するが常食は昆虫類が主である、嘴は強大で尾長く、脚もよく発達し、ものにとまると絶えず尾を動かしてゐる、常に梢の上などにとまり、獲物を探し、これを狙ふや電光石火これを襲うて捕食する、真に敏捷である、その昆虫類や爬虫類などを捕へ、これを草や木の枝に貫く変つた習性は昔から『鵙の草茎』又は『鵙の早贄』と呼ばれてよく知られてゐる、啼く声も甲高く、秋天にこれを聞く時は一種の爽快さを覚える。

春されば百舌鳥の草ぐき見えずとも吾は見やらむ君があたりを  (万葉集)作者不詳

垣根にはもずのはやにえ立てゝけりしでの田長に忍びかねつゝ  (家集) 俊頼朝臣

百舌は秋の花鳥画として画かるゝもの多く、その雛はよく人に馴れるので、また雛だけを画いた作もある。

宮本二天筆  『枯木鳴鵙図』   長尾欣弥氏蔵

雪舟筆    『花鳥屏風』の鵙  前田侯爵家旧蔵

下村観山筆  『紅葉鵙図』    第一回淡交会出品

長野草風筆  『秋畦』      第十九回院展出品

速水御舟筆  『百舌の巣』    個人展覧会出品

榊原紫峰筆  『葡萄に百舌』   紫峰花鳥画集所載

吉田秋光筆  『もずの雛』    昭和九年尚美展出品

勝田蕉琴筆  『入日近く』    第二回帝展出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)