松島

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まつしま


画題

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解説

画題辞典

松島は陸前国に在り、日本三景の一なり、鹽竃灣頭西代ケ崎より東北丸山岬を極むる内海一帯に八百八島碁布星散し、島は悉く翠松を戴きて千古の縁を水上に垂る、風光の美、景色の優、天下の第一勝たるべし、古く「衆美歸松洲、天下無二山水」と稱せらる、之を画くもの亦多し。

土佐光起筆(尾張徳川候爵所蔵)

狩野探幽筆日本十二景の内(大河内子爵所蔵)

狩野常信筆(某氏所蔵)近年にてに川村曼舟が文展の出品画あり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

日本三景の一、陸前国宮城郡松島湾内にある、湾内の島々形面白く、或は石門を造り、洞窟を穿ち、絶壁となり、累積をなし、これに翠松を生じ、白波に映ずる所、によくに美しく、その島めぐりの興は言語に絶してゐる、その島々の中で、宮戸、寒風沢、桂島は大きく羅漢、九ツ島、焼島、福浦島、経島、双子島、毘沙門島、布袋島、大黒島、恵比寿島、皆面白く陸近くには五大堂、雄島があり、瑞巌寺や、観瀾亭の名跡も、島々と相対してゐる、湾内の八百八島を俯瞰する名所としては、古来富山、扇渓、多門山、大鷹森が名高く、之を松島四大観といふ。

     松島賦     芭蕉

そも/\事ふりにたれど、松島は扶桑第一の好風にして、凡洞庭西湖を恥ず、東南より海を入て江の中三里、浙江の潮をたゝふ、七十二峰、数百の島々、欹つものは天を指、ふすものは波に匍匐、あるは二重にかさなり、三重にたゝみて左にわかれ、右につらなる、負るあり、抱るあり、児孫愛するが如し、内ふたご、外ふたご、鎧島、かぶと島、牛島、蛇しま、内裏島、屏風じま、笆が島、あまの小舟漕つれて、肴わかつ声々に、つなでかなしもとよみけむ俤を残し、末の松山は寺となりて、松のひま/\墓を築く、羽をかはし、枝をならぶる契の末も、終には皆かくのごとしと悲し、野田の玉川、沖の石、宮城のゝ森、武隈の松、猶此境に名をならべたり、しほがまの浦には塩がまの明神あり、神前のかな灯籠、文治三年、泉三郎寄進と記す、雄島が磯は地つゞきにて、雲居禅師の別室のあとに、坐禅石、瑞岩寺は相模守時頼入道の建立、当時三十二世のむかし、真壁平四郎出家して、入唐婦朝の後開山す、其後伊逹政宗再興して七堂伽藍となれりける、法蓮寺は海岩に峙、老杉影をひたし、花鯨波にひびく、松の緑こまやかに、枝葉汐風に吹たはめて、屈曲おのづからためたるがごとし、其気色窅然として美人の顔を粧ふ、ちはや振神のむかし、大山ずみのなせるわざにや、造化の天工いづれの人か筆をふるひ詞を表さむ。  (風俗文選)

松島を画いたもの古来少くない。

尾形光琳筆  『松島屏風』    光琳図譜所載

土佐光起筆            徳川義親侯蔵

田崎草雲筆            宝来市松蔵

川村曼舟筆  『日本三景』の中  第十一回文展出品

小林古径筆            所蔵者不詳

竹内栖鳳筆            古殿氏旧蔵

近藤浩一路筆           個人展出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)