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総合

能の舞台に立つ役は、それぞれの曲によって、個々の役名(呼称)を持っている。たとえば、《敦盛(あつもり)》に登場する「平敦盛(たいらのあつもり)」「蓮生(れんせいれんしょう)法師」、《大会(だいえ)》に登場する「天狗」「比叡山(ひえいざん)の僧正(そうじょう)」「帝釈天(たいしゃくてん)」などである。

それとともに、能では、すべての曲に通じる能独自の役の呼び方がある。たとえば、立ち役としては、「シテ」「ワキ」「ツレ」「アイ」などの呼称があり、舞台に立つ役を支える役に、「地謡(じうたい)」「囃子(はやし)」「後見(こうけん)」がある。

立ち役の中では、シテが最も重い役とされ、ワキがその次に重い役と見なされる。また、アイは、能の中の役としては最も軽いものと見なされるが、アイに扮する演者が他の演者と比べて熟練している場合もある。

地謡は複数いるが、その中のリーダー役として「地頭(じがしら)」と呼ばれる演者がおり、それに次ぐ演者として「副地(ふくじ)」(「副地頭」の略であろう)がいる。

後見は、一曲に数人いるのが普通であるが、その中の一人は、シテと同等あるいはそれ以上に熟練した演者が担当する。

囃子の演者は、能の曲を音楽的に支える役であるが、ある曲の上演の際、その曲のシテを演じる役よりも熟練した演者が担当する場合も少なくない。能を支える役といっても、音楽的な複雑な技法を修練した演者が担当するので、立ち役と比較して、位の上下について言われることは少ない。