天鼓

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てんこ


画題

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解説

東洋画題綜覧

謡曲の曲名、元清の作で唐土後漢の帝に仕へる王伯王母といふもの、一子があり、その母天よりが降り下つたと夢みて孕んだので天鼓と名付けたが、その後天から誠に鼓が降り打てば妙なる音を発するので、天鼓はこれを秘蔵する中、帝、これを聞き鼓を召す、天鼓惜んで鼓を抱き山中に隠れた、こと勅命に違ふとあつて天鼓は捕へられて呂水に沈められ鼓は内裏に召されたが、此の鼓更に音を出さず、帝怪しみ、父王伯を召して打たせると不思議や妙音を発したので懇ろに天鼓の為めに供養の仏事を営むといふ筋で、前シテは王伯、後シテは天鼓、ワキは勅使、処は唐土である。

「あら有りがたの御弔ひやな、勅を背きし天罰にて呂水に沈みし身にしあれば、後の世までも苦しみの、海に沈み波に打たれて、呵責の責めもひまなかりしに、思はざるの外の御弔ひに浮び出でたる呂水の上、曇らぬ御代の有難さよ、「不思議やな、はや更け過ぐる水の面に、けしたる人の見えたるは、如何なるものぞ名を名のれ、「是は天鼓が亡霊なるが、御弔ひの有難さに、是まで顕はれ参りたり、「扨は天鼓が亡霊なるかや、「然らばかゝる音楽の舞楽も天鼓が手向の鼓、打ちて其声出づならば、実にも天鼓がしるしなるべし、はや/\鼓を仕れ、「うれしや扨は勅諚ぞと、夕月かゞやく玉座のあたり、「玉の笛の音声すみて、「月宮の昔もかくやとばかり「天人も影向、「菩薩もここに「天降ります気色にて、同じく打つなり天の鼓、「打ち鳴らす其声の、呂水の波は滔々と、打つなり、/\汀の声の、より引く糸竹の、手向の舞楽は有りがたや。

画材としても極めて変化があつて面白い。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)