傾城反魂香

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けいせいはんごんこう


総合


歌舞伎

浄瑠璃、三段、時代物近松門左衛門作。宝永5年(1708)大坂竹本座初演。通称「吃又」。 土佐将監の娘お光の魂魄が、その恋人狩野元信と契る物語を中心に、不破名古屋の達引、吃の叉平の名画の奇蹟等を脚色したもので、近松の時代物中の傑作。歌舞伎では上の巻の切「将監閑居」(吃又)だけが上演される。 又平の吃りと女房お徳の弁舌との対照、夫婦愛の表現、又平の絵をかく所が見どころ。 お徳は「ととかか」といわれる役柄。

人物関係図

あらすじ

●将監閑居の場 虎があばれて村中が大騒ぎをしているところへ、修理之助は、虎が絵から抜出たものと見抜き、筆で消してしまう。師の土佐将監は、それを賞賛して、土佐の苗字を許す。 大津の絵師浮世又平は、現在蟄居中の師の土佐将監への見舞は、女房のお徳とそろって欠かさず、誠実な人柄である。しかし、吃りのため、うまく意志を伝えられない。修理之助のことを知って、自分も苗字をと願うが、許されず、捕えられた銀杏の前の救出する役も拒絶されるため、死を覚悟して、手水鉢に自分の姿を描く。すると、その像は、反対側に抜けて映る。それを見た将監は、その筆力に感心して苗字を許し、「土佐光起」の名をもらうのであった。

全体のあらすじ

[上の巻] ■越前気比の浦の場 高島の大名頼賢が松の絵本を集めているので、狩野元信は竹隈の松を描くべく、天神の霊夢に任せて気比の浦に着き、父のため傾城に身を沈めた土佐将監の娘遠山に出会う。遠山は家の秘伝である松の図を、元信の奴の雅楽之介を松の木に準えて授け、他日の契りを願う。 ■江州高島屋形の場 名古屋山三推挙の元信に心を寄せる頼賢の娘銀杏の前は、計略をもって祝言の杯を交わす。 執権不破道犬、伴左衛門親子や絵師雲谷らは元信に無実の罪を着せて柱に縛り付けるが、元信は自ら肩先を食いちぎった血で虎を描き、自らの難を救う。 ■山科土佐将監閑居の場 庵に逃込んだ元信が描いた虎を、弟子修理之介が名字名乗りを許された後、消し去る。 将監を見舞う弟子の吃の又平夫婦も名字を切望するが許されず、捕えられた姫を救出の役も峻拒されるので、自害して贈名を得ようと、名残の自画像を手水鉢に描くと、背面まで徹する。その功で名字と姫救出の任を許される。又平は、妻の鼓で大頭の舞を舞い、節をつけて謡うのであった。 ■又平住家の場 不破から逃れてきた姫を又平夫婦は我家に匿う。所へ押入った敵を大津絵の精が追い払い、又平と姫は脱出する。 [中之巻] ■六条三筋町大門口の場 伴左衛門殺害の下手人の詮議に来た役人を、葛城の遣手の代理のみや(もとは遠山)が弁舌で煙に巻く。 ■六条三筋町舞鶴屋の場 舞鶴屋伝三を訪れた山三は、元信の出世を邪魔する伴左衛門殺害したことを明かし、切腹の覚悟を示す。みやと伝三の計らいで女敵討ちに仕立てることにする。 みやは、相の山姿となってやってきた元信と巡り会って、互いの憂き身の上を語り合うが、山三への義理から元信が姫との結婚を約すので、みやは悲嘆に暮れる。 ■北野右近の馬場の場 白無垢姿のみやは、元信のもとへ嫁入りする姫の輿を止めて七々日の身代りを願い、姫はそれを許す。 ■北野社人の宅の場 山三が祝言の五日目の祝いに訪れ、二人の仲睦まじさを聞く所へ、伝三がみやの死を伝える。元信に熊野山の絵を寝室の襖に描かせて参ろうとするみやの姿は障子の影では五輪と映る。 ■三熊野かげろう姿 襖絵を前にしての道行。元信はみやの逆様姿からその死を覚る。みやは身を恥じて姿を消すが、慕い歎く元信の前に遣り手姿で現れ、地獄の苦患や流れの身の苦しみを語って消え失せ、縋る元信は絶入してしまうが、名古屋や門弟の介抱により、一間に休むことになる。 ■北野社人の宅の場 山三の伴左衛門に対する殺人と500両の詮議のため、役人が道犬、雲谷を誘引して来る。山三は、女敵を討ち、500両も死骸の肺のに隠していたことで嫌疑が晴れ、逆に両人が捕縛されて一件落着する。 [下之巻] ■山科土佐将監山庄の場 高い官禄を得た元信が、将監の館を訪れて勅勘御免の宣旨を伝える。銀杏の前は傾城姿であらわれ、山庄に道中する。姫を遠山ということにして、元信と祝言をあげさせ、田上郡の七百町の御朱印を将監にわたし、一家の繁栄を寿ぐ。