和歌懐紙

01 伏見天皇宸翰歌集断簡(広沢切)一幅 (三〇、五×三九、二)
伏見天皇(一二六五〜一三一七)は後深草天皇の第二皇子、母は洞院実雄の女?子(玄輝院)。
在位は一二八七年〜九八年。
その書は歴代天皇のなかでも屈指の能筆として知られ、『増鏡』巻一二には「御手もいとめでたく、昔の行成大納言にもまさり給へるなど、
時の人申けり」とあるなど、いわゆる宸翰様書風成立の母胎となった。
広沢切とは伏見天皇の御製集の断簡であるが、本作品の前半に記された「玉葉」とは、天皇が京極為兼に命じて撰進させた『玉葉和歌集』のことである。