花散里
はなちるさと
画題
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解説
画題辞典
花散里は源氏物語の一条なり。光源氏の君の中川あたりに知る所ありて忍び玉ふことを叙せり。源氏道にて
橘の香をなつかしみほとゝぎす 花散里を尋ねてぞとふ
源氏絵として画かるゝ少なからず。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
『源氏物語』五十四帖の第十一、この巻は光源氏廿四歳の事を記してゐる、五月雨の降り頻る頃、中川に花散里を訪ふ、空には杜鵑が啼く、情味の深い巻である。
郭公ありつる垣根のにや、同じ声にうちなく、慕ひきにけるよと思さるゝほども、艶なりかし、いかに知りてかな、忍びやかにうち誦じ給ふ。
橘の香をなつかしみほとゝぎすはな散る里をたづねてぞとふ。
巻の名は此の歌からつけられてゐる、源氏絵として多く画かれてゐる。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)