桐
ナビゲーションに移動
検索に移動
きり
画題
画像(Open)
解説
東洋画題綜覧
桐は玄参科に属する落葉喬木で、幹の高さ約三丈幹廻り三尺に及ぶ、樹皮は薄く紫黒色で緑気を帯び、葉は対生で一葉毎に長い葉柄がある、葉の大なるものは往々一尺に及ぶ、四五月頃花を開く、唇形で一寸余になり、紫白色で、上部五裂し細い毛が密生し花が済むと蒴が出来る、長さ一寸余、卵形で鋭い尖頂がある、十月頃熟する、蒴が裂けると中に種子があり羽があつて飛ぶ。
桐は昔から鳳凰のやうな霊鳥の棲む樹といはれ、この樹を植ゑる時は、諸々の禍を除くともいふ、凡そ地を相するに当り南に沢や畔の無い時は、桐七本を栽ゑると災なく幸福来るといふ。
一説に鳳凰の棲むは桐でなく梧桐であると書かれてゐるが、昔から鳳凰の絵に梧桐の画かれる場合は少く、多くは桐である。
狩野常信の桐に鳳凰の屏風は、常信の傑作として有名であり、探幽にもよい作がある。唯桐の木を画いた作としては近く左の諸点が挙げられる。
荒木十畝筆 『煙雨』 読画会展出品
水上泰生筆 『薫風』 個人展覧会出品
小林草悦筆 『清麗』 第十四回院展出品
鬼原素俊筆 『桐林』 第十六回院展出品
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)