鴉
からす
画題
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解説
東洋画題綜覧
鴉は燕雀目鴉科の鳥で、嘴極めて強大であり鼻孔は密毛に蔽はれ翼はかなり長く、尾は普通である、脚も強大で地上を歩行するに適す、普通に『からす』と称してゐるのは、『はしぶとがらす』『はしぼそがらす』の両種で、市街地海浜田圃等に群棲する、両者の差異は名の通り、一は嘴太く、一はやゝ細い、此の鳥古来土俗的に種々の口碑が伝へられ、或は熊野の神使といはれ、或は凶事を報ずる鳥とせられ、従つて伝説等に現はるゝことも多く、絵画等に描かるゝもの少くない。
長谷川等伯筆 『群鴉図』 京都醍醐三宝院蔵
俵屋宗達筆 『鴉』 加賀樋爪氏旧蔵
牧谿筆 『濡鴉』 川崎男爵家蔵
秋月筆 『雨中寒鴉』 同
頼山陽筆 『枯木寒鴉』 松本双軒庵旧蔵
司馬江漢筆 『麦鴉』 ビゲロー氏旧蔵
渡辺崋山筆 『春柳雨鴉』 小坂順造氏旧蔵
現代の作では枚挙に遑もない。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)