卯の花
うのはな
画題
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解説
東洋画題綜覧
卯の花は普通『うつぎ』と称せられる虎耳草科の灌木で、高さは五六尺に達し叢をなして繁茂し、葉は対生で長楕円形、先端が尖つて居り縁辺には細かい鋸歯を刻んでゐる、花は白色の五弁で、穂状を為し多数簇つて咲く、昔からこれを生垣として庭園の周囲に植ゑたのが所謂卯の花垣である、花が済むと小さい円形の実を結ぶ、その材は木釘にしたり桶や樽の飲み口にしたりする、普通種の外に、丸葉うつぎ、姫うつぎ、梅花うつぎなどがあるが、絵に画かれるのは、普通種である。
卯の花は、品をとりて何となけれど、咲くころのをかしう、杜鵑のかげにかくるらんとおもふにいとをかし、祭のかへさに、紫野わたり近き、あやしの家ども、おどろなる垣根などに、いと白う咲きたるこそおかしけれ、青色のうへに白き単襲かづきたる、青松葉などにかよひていとをかし。 (枕草子)
俵屋宗達筆 長谷川宇一氏蔵
酒井抱一筆 『卯花郭公』 大沢百花潭旧蔵
谷文晁筆 『卯花杜鵑』 大橋新太郎氏蔵
松村景文筆 『卯花月夜』 所蔵者不明
平福百穂筆 『卯の花垣』 林数之助氏旧蔵
児玉希望筆 『澄潭潜鱗』 昭和八年尚美展出品
椎塚蕉華筆 『卯の花垣』 第一回文展出品
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)