兎
うさぎ
画題
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解説
東洋画題綜覧
兎は兎科に属する哺乳動物で、その種類は沢山あるが、普通野兎と飼兎とに区分することが出来る、野兎は日本内地に広く分布し所や風土に依り体毛の色彩を異にしてゐる、暗色のものもあれば淡褐色のものもある、夏毛は概して色が濃く、常に山野に棲息して小丘を登ることが巧みであるが、降るのは拙劣で時に転落することがある、一種越後野兎は普通野兎に似てゐるが黒毛を交へ、冬は白色となる点が違つてゐる、飼兎は体色純白で耳長く眼は紅玉の如く、いろ/\種類がある、なほ一種奄美大島には奄美黒兎といふ一種があり天然記念物として保護を加へられてゐる、芸術に現はれるものは、普通野兎と飼兎で、月を象徴する動物として古来いろ/\の方面に交渉をもち、絵画に現はれたものも無数である、名作を二三挙げる。
本阿弥光悦筆 『扇面月兎』 九鬼男爵家旧蔵
鳥羽覚猷筆 『鳥獣戯画巻』 京都高山寺所蔵
円山応挙筆 『芭蕉兎』 京都西本願寺旧蔵
朱朴筆 『天香玉兎』 紀州徳川家旧蔵
安田靫彦筆 『うさぎ』 石田貞吉氏蔵
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)