蛇
へび
画題
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解説
東洋画題綜覧
蛇は爬虫類中最も普通に知られてゐるもの、その姿に一種蠱惑的なところがあるもので、それがいろ/\の伝説となり、口碑を生み、従つて芸術にも深い交渉をもつてゐる、動物学的に言へば脊椎動物爬虫類蛇目に属し、更に細別すると狭口亜目、脚蛇亜目、蛇亜目、管牙亜目となる、日本に産する種類としては
青大将、赤楝蛇〈やまかゞし〉、烏蛇、日ばかり、縞蛇、高千穂蛇、白斑蛇、蝮などがある、此の外に熱帯地方には毒蛇がいろ/\ある、大きなものでは錦蛇で古名南蛇といふ南洋方面の産である、蛇に関する画材としては、道成寺縁起、雨月物語、幸若舞の入鹿、その他極めて多い、又、十二支の巳に蛇が配せられるので、干支絵として画かれる場合も多い。
蛇の絵としては高山寺の鳥獣戯画巻にも現はれ、光琳には立葵と蛇の作があり、秋暉には秋草に蛇、北斎には弁財天の寓意で、琵琶に白蛇を絡ませた名作がある。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)