枇杷
びわ
画題
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解説
東洋画題綜覧
枇杷は支那原産の薔薇科植物で、暖地に産し冬に至るも葉凋まず、その枇杷の名は葉の形楽器の枇杷に似てゐるからといふ。細かい鋸歯があつて褐色の毛を生じ、冬枝の先に花をつける。また褐色の毛に蔽はれた苞に包まれ、やがて白色の五弁花を見る、花払底の頃とて俳趣あつて雅人の鑑賞に適する、かくて夏に至ると、円形の果実を鈴の如く集まりつけこれが金色を呈するので、亦一種の美しさがある、近来房州辺に田中枇杷があり、江戸時代長崎に茂木枇杷があつた、共に普通種より果実の大なるを以て聞えてゐる。
枇杷の画かれた作
狩野元信筆 『枇杷栗鼠図』 故波多野古渓氏蔵
呂紀筆 『枇杷十禽図』 越前松平家旧蔵
雪村筆 『枇杷錦鶏図』 神戸川崎男爵家旧蔵
狩野松栄筆 『枇杷錦鶏図』 早川千吉郎氏旧蔵
望月春江筆 『枇杷』 第八回帝展出品
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)