灯籠大臣

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とうろうだいじん


画題

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解説

東洋画題綜覧

同じく重盛の逸事で、最も多く画かるゝもの、『平家物語』を引く、

総て此大臣は滅罪生善の御志深う坐ければ、当来の浮沈を歎いて東山の麓に、六八弘誓の願に準へて、四十八間の精舎を建て一間に一つづゝ四十八の灯籠を被掛ければ九品の台目の前に輝き、光耀鸞鏡を琢つて浄土の砌に臨ぬるが如し、毎月十四日十五日を点じて当家他家の人その御方より眉目よく若う盛なる女房達を請じ聚め、一間に六人づゝ、四十八間に二百八十八人時衆に定て彼両日が間は一心称名の声不断誠に来迎引摂の悲願も此所に影向を垂れ摂取不捨の光も此大臣を照し給ふかとぞ見えし、十五日の日中を結願にて大念仏有しに大臣自ら彼の行道の中に交て西方に向ひ『南無安養世界教主、弥陀善逝、三界六道の衆生を普く済度し給へ』と廻向発願せられければ、見る人悲慈を起し聞く者感涙を催けり、懸りしかば此大臣をば灯籠大臣とぞ申ける。  (平家物語巻第三)

灯籠大臣を画いた作、

菊池契月筆   『供灯』  第四回文部省展覧会

梥本一洋筆         第三回帝展出品

松岡映丘筆         第四回金鈴社展出品

中村大三郎筆        第四回帝展出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)


灯籠の大臣〈おとゞ〉、共にたいらのしげもり「平重盛」の項を見よ。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)