橘
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たちばな
画題
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解説
東洋画題綜覧
橘は芸香科の常緑植物で、茎の高さは一丈余、葉は単葉で一箇の小葉と翼を具へ互生であり、花は初夏の候に開く白色の五弁花で多数の雄蕊と一本の雌蕊を有し芳香あり、古来賞せられ、果実は冬に至つて熟し黄色を呈する、紫宸殿前の右近の橘は即ち此の植物である。
またその果実は、紋どころとして洽く行ひられ、丸に橘、石持橘、抱橘、三つ橘、向橘など極めて多い。
吾が庭の花橘の何時しかも珠に貫くべくその実成りなむ 大伴家持
君が家の花橘はなりにけり花なるときに逢はましものを 遊行女婦
吾が庭の花橘をほととぎす来鳴きとよめて本にちらしつ 大伴村上
古来詩歌によく詠ぜられ絵画にも現はれてゐる。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)