破墨山水

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はぼくさんすい


画題

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解説

画題辞典

破墨山水は筆を惜しみ墨を省きて余情を愛するもの、潑墨の妙を顕はさんとする一種の画法より成る田水画也、投げつけたる如き墨汁、即ち是れ森、是れ山、軽く掃ひ、浄く沫する筆跡、忽ち地を為し水を為す、雪舟入唐して学習すと称し、雪舟に此山水多し、雪舟筆東京帝室博物館の所蔵二点あり、住友男爵所蔵一点あり、傑出の作となす。就中博物館蔵品の破墨山水の一はその弟子如水宗淵に与へたるものにて落歎には明應乙卯季春中瀚日四明天童第一座老境七十六翁とあり、その図上余白には更に當時の五山禅僧中衝清承の題賛及瑞龍の雪蕉以下の題詩あり、最も世に有名のものなり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

筆数を少くし墨を惜しみ、落墨一点忽ち山となり水となり、断崖となり絶壁となる、即ち絥紗紙に唯淡墨と濃墨とを以て描く山水で、遠く唐時代から行はれたといひ、『暦代名画記』王維の条には、『余曽て破墨の山水を見るに筆跡勁爽なり』の文字があり、『図画見聞誌』宋の郭若虚の項には、「小石を画く者、毎に素を留め以て雲を生じ、或は地を借りて雪と為す、其の破墨の功、尤も難しと為すなり』とある、我が国に於ては雪舟入唐して之を学び伝ヘたと称せられ、後世狩野派の人々もよくこれを描いた。名作と称せられるもの矢張り雪舟に多い。

雪舟筆(双幅)  紀州徳川家旧蔵

同 (同)   島津公爵家旧蔵

同   帝室博物館蔵

宗淵筆    山本規矩三氏蔵

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)


さんすいが「山水画」の項を見よ。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)