天保九如
てんぽうきゅうじょ
画題
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解説
画題辞典
蓬莱山の如き山水画に日月並び出でたるを描きたるを天保九如図と称す、詩経の天保定爾以莫不興、如山如阜、如岡如陵、如川之方至以莫不増、如月之恒如月之昇如南山之壽不騫不崩如松柏之茂、無不爾或承より出づ、
古くは末松子爵所蔵宋方椿年筆というものあり、近くは明清派画家の好んで画く所にして、近世にては橋本雅邦、野口小蘋等の作、人に喜ばる。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
瑞祥を集めた理想の山水画で、図は多く蓬莱山の如く、これに日月並び出でたる処を画く、その出所は『詩経』巻四、小雅鹿鳴之什、天保に出づ、
天保定爾、以莫不興、如山如阜、如岡如陵、如川之方至、以莫不増。
吉蠲為饎、是用孝享、禴祠烝嘗、于公先王、君曰卜爾、万寿無彊。
神之弔矣、詒爾多福、民之質矣、日用飲食、群黎百姓、遍為爾徳。
如月之恒、如日之升、如南山之寿、不騫不崩、如松柏之茂、無不爾或承。
と即ち、右の如山如阜如岡如陵如川、如月之恒、如日之升、如南山寿、如松柏之茂。九如をいふのである。
これを画けるものゝ中重なるもの二三を挙ぐ。
高橋草坪筆 (重要美術品) 郷誠之助氏蔵
宗星石筆 所蔵者不明
富岡鉄斎筆 坂本光浄氏蔵
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)