太平記
たいへいき
画題
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解説
画題辞典
太平記四十巻、花園天皇文保二年より後村上天皇の正平二十二年に至るまで凡そ五十四年間、主として後醍醐天皇の御一代中のことを中心として、この間の戦乱を記せるものなり、著者は不明なれども小島法師なるものゝ作とすること古来有力の説なり、文章雄大壮烈にして甚だ感傷的なり、江戸時代には、世に太平記讀みとて之を娯楽的に読み聞かするを業とするものさへありたり、絵に図せるもの亦多し、
東京帝室博物舘に海北友雪筆の屏風あり、京都三時智恩寺に伝狩野元信筆の絵巻あり。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
太平記は全四十巻で外に剣巻一巻ある。内容は花園天皇の文保二年から後村上天皇の正平二十二年に至るまで、凡五十四年間の戦乱記で文勢雄大、和漢混淆文の上乗なもの、南北朝史研究には闕くベからざるもの、江戸時代には大平記読というて大平記を読み聞かせて人の娯楽としたものもあつた。著者に就いては初巻から十巻までは玄恵法師、善知法師、教円上人絶隣等が、義貞尊氏藤房等の実戦に臨んだ人々に尋ねて著はしたものといひ、又洞院公定公目次記応安七年五月三日の条に『伝聞去廿八九日之間、小島法師円寂云々、是近日翫天下太平記作者也』とあるから、小島法師の作といふのが信ずべきものであらう。 (国史大辞典)
太平記は全巻に画題となる所極めて多く部分的に画かれたものは多いが、全面的に絵にしたものでは、左の諸点が聞えてゐる。
筆者不明 太平記合戦屏風(重要美術) 奈良飯田真作氏蔵
海北友松筆 東京帝室博物館蔵
伝狩野元信筆 『太平記絵巻』 京都知恩寺蔵
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)