佐野渡
さのゝわたり
画題
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解説
画題辞典
佐野渡は大和国にあり、藤原定家卿の歌「駒とめて袖打ち払ふかけもなし佐野の渡の雪の夕暮」これよリ又佐野の雪ともいい古来多く画かる。優美なる殿上人の雪に暮れ行くを図するを通例となす。
俵屋宗達の筆(大岡力氏旧蔵)、緒方光琳筆(三井男爵及河野某氏所蔵)あり。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
紀伊国東牟婁郡三輪ケ崎のあたりを昔は佐野と呼んだ、『新古今集』の
駒とめて袖うちはらふかげもなし佐野の渡りの雪の夕ぐれ 藤原定家
の一首により知られ、又、謡曲『鉢木』(鉢の木)により佐野常世の住んでゐた下野の佐野も舟橋あつて有名であり、前の歌意を画いたもの極めて多く、殊に俵屋宗達、尾形光琳の作が聞えてゐる。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)