狭衣物語
さごろもものがたり
画題
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解説
画題辞典
狭衣物語は本朝の古文学にして、世に大貳の三位という藤原賢子の撰なり、八巻あり、狭衣の大将というを一編の主人公として紆余曲折を画く、源氏物語のことをも引用あり、之を絵巻として描くものは左の如きものあり。
筆者不明狭衣物語絵巻(谷森真男氏所蔵)、土佐光起筆狭衣物語絵巻(西本願寺所蔵)、狭衣物語残缺―鎌倉時代(東京帝室博物館所蔵)
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
平安朝時代に於ける物語の名、八巻より威る作者は大弐三位藤原賢子と伝へられるけれども詳かでない、堀川大臣の子、狭衣大将を男の主人公とし、源氏の君を女の主人公とした恋物語で大体の結構は源氏物語に倣つてゐるが、源氏ほど規模が大きくない、流暢な和文で女性らしい描写に富んでゐるので聞えてゐる。
狭衣物語を絵詞にしたものに、狭衣物語絵巻がある、最初何巻であつたか明かでない、其後伝はつた一巻も、維新の際兵火の為め焼失し、その焼残りが、今は帝室博物館、岸清一氏其他に分蔵されて居る、土佐光顕の作と伝へ、画風は隆能源氏などの風を追うて居る、鎌倉末期の製作である。 (絵巻物小釈)
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)