寒江独釣
かんこうどくちょう
画題
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解説
画題辞典
巌冬の江上に孤舟を泛べで独り綸を垂るゝの図を称して寒江独釣という。柳宗元が詩に「孤舟簑笠翁、獨釣塞江雪」とあるより出でしものなるべし。
この画の最も有名なるものも井上侯爵所蔵に宋の馬遠の筆に成るものあり、東山御物なり、又京都曼殊院所蔵明の朱端の図も国宝にて之に次いて本図として知られしものなり。近くは小野光景氏所蔵に田能村竹田の筆あり。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
厳冬の江上に独り舟を泛べて綸を垂るゝ図であり、柳宗元の詩に『孤舟簑笠翁、独釣寒江雪』とあるのから出たものであらうといふ、又『佩文斎詠物詩選』には左の詩がある。
寒江釣雪 周復俊
嵐雲凍不飛、江水明素練、千林冥若空、遥峰隠還見、漁歌巌下起、落日声猶転。
これを画いたものでは、井上侯爵家旧蔵の馬遠の作最も聞えてゐる。孤舟釣人の外何物も描かず、然もよくその趣を伝ふ、黒田侯爵家には、その子馬麟の『塞江独釣』がある、背景あり、前景あつて構図やや複雑に、我が朝では狩野元信にその作ある外、狩野家にはこれを描くもの多く、南画では田能村竹田にその作がある。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)