榎木僧正
えのきそうじょう
画題
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解説
画題辞典
徒然草の一段なり、左の如く記るす。「公世の二位のせうとに、良覚僧正ときこえしは極あて腹あしき人なりけり、坊の傍に大なる榎木ありければ人榎の木の僧正とぞいひける、此名然るべからずとて彼の木を伐られにけり、其根のありければ、きりくびの僧正といひけり、愈々腹立ちて切くひを掘捨てられたりければ其後大なる堀にてありければ、堀池の僧正とぞいひける。近世の諸家之を描くもの少しとせず。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
兼好法師が『徒然草』の一節、第四六段にある、良覚僧正のことを画いたもの、諷刺あり諧謔あり此の一段人口に膾炙せられてゐるので絵にも画かれ、渡辺崋山にもその作がある。
公世の二位の兄人に、良覚僧正と聞えしは極めて腹悪しき人なりけり、坊の側に、大きなる榎の木ありければ、人『榎の木の僧正』とぞいひける、この名然るべからずとて、かの木を伐られにけり』その根のありければ、『きりくひの僧正』といひけり、愈々腹立ちて、切杭を掘り棄てたりければ、その跡大きなる堀にてありければ、堀池の僧正とぞいひける。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)