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やなぎ


画題

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解説

東洋画題綜覧

柳と一般に呼んでゐるのは楊柳科の落葉喬木で、支那を原産とする枝垂柳のことであるが、広く楊柳科の植物の総称となつてゐる、柳の名を冠する植物はかなり多く

枝垂柳、川楊、猫柳、行李柳、大葉柳、岩柳、絹柳、芝柳、立柳、山猫柳、はこ柳

などである、枝垂柳は漢名『独揺』、古く支那から渡来したもので、今日は街路樹、庭園樹として到る処に見られる、枝細く垂れて糸の如く、芽出頃の景観が極めて美しいので、所謂『青柳の糸』として古歌などにも詠ぜられ絵画にもよく画かれる、葉は披針形で細長く、周囲に鋸歯があり幹の高さは三四丈に達し、葉に先立つて花を開く、雄花は二雄蕊を有するのみ、色は黄緑色。春の発芽頃が一番美しい。

川楊。水楊とも書く、名の通り原野の水辺などに多く、落葉喬木で、葉は互生、小さい托葉があり、枝垂柳のやうに枝が垂れず、花は株を異にして単性花を開く、短い穂状をなす黄緑色のものである、猫柳は落葉灌木で高さ五六尺、花は穂状で銀色の毛を密生してゐるので猫柳の名がある。

柳の絵の名作

伝長谷川等伯筆  『柳襖絵』    醍醐三宝院蔵

伝狩野永徳筆   『柳山水』襖絵  京都聚光院蔵

狩野山楽筆    『彗中柳鷺』   京都天球院蔵

周文筆      『柳山水』    川崎男爵家旧蔵

無款       『宇治橋』屏風  市田弥三郎氏蔵      

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)