御法
みのり
画題
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解説
画題辞典
御法は源氏物語の一巻なり、紫の上御悩みしきりなりしかば、彌生十四日に僧衆数多召されて法華経の御會あり、之を御法の巻といふなり、紫の上には三つになる姫君を傍近く呼ばせ給ひて遺言などあり、又明石の中宮、若君なども養はれたる方々とてかたみ分けなどあり、八月中程にしきりに重りて遂にかくれ給ふとなり、それ/"\に弔歌などあり、源氏の君の哀しみ一きわなりとなり、源氏絵の一として画かる。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
源氏五十四帖の中光源氏五十二歳の春から秋までの事を記してゐる、紫の上の病あつく悩みわたるので法華経千部の供養などし、花散里や、明石の中宮なども集り紫の上はそれとなくかたみわけなどする、巻の名は
昨日例ならず起き居させ給へりし名残にや、いと苦うて、臥し給へる、年比かゝる物の折ごとに、参りつどひ遊び給ふ人々の、御容貌有様のおのがじしの才ども、琴笛の音をも今日や聞き給ふべきとぢめならんとのみおぼさるれば、さしも目とまるまじき人の顔どもも哀に見渡され給ふ、まして夏冬の時につけたる遊戯にも、なまいどましきしたの心は、おのづから立ちまじりもすらめど、さすがに情をかはし給ふ方々は誰も久しくとまるべき世にはあらざんなれど、まづ我ひとり行方しらずなりなんを、思しつゞくるいみじう哀なり、ことはてて、おのがじし帰り給ひなんとするも遠きわかれめきてをしまる、花散里の御かたに
絶えぬべき御法ながらぞたのまるゝ世々にと結ぶ中のちぎりを
御かへり
結びおくちぎりは絶えじ大かたののこりすくなきみのりなりとも
やがてこのついでに、不断の読経懺法などたゆみなく尊き事どもをせさせ給ふ
の一節から来てゐる、法華経千部供養の荘厳な中にもあはれな此の情景は源氏絵の中でも特色あるものとなつてゐる。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)