C4-6 「忠臣蔵」に定着した顔世

「忠臣蔵銘々伝」「顔世御前」「大星由良之助」
絵師:歌川豊国〈3〉 判型:大判錦絵
出版:安政2年(1855)
所蔵:立命館ARC 作品番号:arcUP3475.

【解説】 

この絵は江戸時代に活躍した絵師歌川豊国により描かれた作品である。右の人物は顔世御前役の岩井粂三郎で、左は市川海老蔵演じる大星由良之助である。豊国は役者絵の絵師として人気があり大判錦絵『役者舞台之姿絵』で一躍名を知らしめるきっかけとなった。

この絵は忠臣蔵四段の顔世御前と大星由良之助である。四段目は「判官切腹」と「城明渡し」で構成されており、顔世御前の夫塩谷判官が高師直の思惑通り切腹の刑に処される。判官の切腹に遅れた大星由良之助は判官の無念を晴らすべく仇討を門外で決意する。大星由良之助は実在した赤穂藩の家老大石内蔵助がモデルである。家来である由良之助の到着を待ちかねた塩谷判官が切腹後にきた由良之助に対して言ったセリフから、「遅かりし由良之助」ということわざができた。

 忠臣蔵の四段は『太平記』21巻の「塩冶判官讒死の事」の史実と重なる部分があり、太平記の世界観が反映されている場面であるといえる。

(林)

【参考文献】

最新歌舞伎大事典(https://www.dh-jac.net/db/nej/results1024.php?f1=BB09761288_292-05&enter=default)閲覧日12月10日

歌舞伎事典(https://www.dh-jac.net/db/nej/results1024.php?f1=KabukiDIC020-03&enter=default)閲覧日12月10日

歌舞伎登場人物事典(https://www.dh-jac.net/db/nej/results1024.php?f1=kabukijinmeiD-0107-03&enter=default)閲覧日12月10日

「故事ことわざの辞典」あすとろ出版 現代言語研究会