A08初期劇場街の様子

「野郎歌舞伎・芸能図屏風」
絵師:未詳 形態:六曲一双屏風
成立年:江戸中期
資料番号:arcFS00-0001 所蔵:立命館ARC.

【解説】
 舞台が7面描かれている。惣踊り、石引など踊りの場面や餅搗きなどと混じって、能狂言らしき2面が、全部で7面の舞台が描かれる。能狂言では、囃子に毛氈が敷かれていない。紅い毛氈があるのが歌舞伎の舞台であろう。三味線が全く描かれていないことは不審であるが、二階桟敷の存在などから野郎歌舞伎時代を想定して描いた屏風と考えられる。しかし、制作時期は、画風からみて少し時代が下り、江戸中期ころの作だろうか。
 珍しいのは、劇場の表で太神楽や傀儡師、夷舁(人形操り)が描かれていることで、下がり鶴の櫓幕の劇場の前の夷舁は、簓と瓢箪で拍子をとり、子供たちにむけて人形操りを見せている。一方で、傘の櫓幕の前では、人形を操る女傀儡師自身が踊っているようである。