海道記

海道記

・作者:不明

・時代:鎌倉前期(1223年(貞応二))推定

・形式:紀行文

・巻数:一冊

 鎌倉時代の京都・鎌倉間の紀行。著者は不明であるが本書の序の部分に、白河のわたり中山の麓に閑居幽棲する侘士で齢は五旬、遁世して頭陀を事としている者とある。京都出発は貞応二年(1223)四月四日、以後東海道旅行のさまを日次に随って記し、同十七日に鎌倉に着き、十日ほど遊覧し、善光寺詣でを志したけれど都の母の病によって帰途についたところで終っている。人生の不如意を嘆き、仏教的な思いが強く、承久の乱に斃れた人々に哀涙をそそぐなど、中世人的なしめやかさがある。文章は四六文の影響が目だち、対句の多い漢文調の強い表現が顕著な特色となっている。『平家物語』『吾妻鏡』の素材ともなった。

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翻刻・口語訳:「JapanKnowledge」(『新編日本古典文学全集』)

参考・おすすめサイト・文献

石田 吉貞「海道記」『国史大辞典』(「JapanKnowledge」.https://japanknowledge.com)

山本光正『東海道の創造力』(臨川書店・2008)

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