東海道中膝栗毛について
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概説
十返舎一九作の『東海道中膝栗毛』は別名『道中膝栗毛』とも称し、江戸時代後期の滑稽本(滑稽を主眼とした市中を舞台にした小説ジャンル)の代表作であり、作者一九の戯作者としての地位・名声を確立した作でもある。発端から8編まで全18冊から成り、享和2年(1802)~文化11年(1814)の刊行。
弥次郎兵衛と北八の二人が無駄口をたたき合いながら、江戸から東海道を上り伊勢へ、さらに、京、大阪へと気ままな旅をする中で、とんでもない失敗をしたり騒動を引き起こしたり、互いに足を引っ張り合ったりといった愚行を繰り返すが、そのたびに狂歌を詠んで笑い納めていく。街道沿いの様子や各地の名物などの描写も随所にちりばめられている。
章分け
発端(概略)
駿河国府中の栃面屋弥次郎兵衛は相応の商家の息子だが、遊郭にはまったうえに旅役者の鼻之助(北八)に入れあげて身代をつぶし、北八を伴い駆け落ちし江戸へ。弥次郎兵衛は神田八丁目堀の長屋に住み、北八を商家へ住み込み奉公に出して、自らは妻をもらい所帯を持ってしばらく暮らす。ところがひょんなことから弥次郎兵衛は妻を追い出すことになって独り身に戻り、北八は奉公先を首になる。江戸でうまくいかなかった二人は縁起直しのため伊勢参りの旅に出る。
初編:江戸からは箱根まで。
二篇:箱根から岡部まで。
三編:岡部から新居まで。
四編:新居から桑名まで。
五編:桑名から山田まで。
六編:伏見から京へ。
七編:京内巡り。
八編:大阪見物。木曽路を通って江戸へ帰る。
〈参考文献〉
神保五彌・中村幸彦・棚橋正傳『日本の古典をよむ⑱世間胸算用・万の文反故・東海道中膝栗毛』(小学館・2008)