26. 日坂 佐夜ノ中山(東海道五十三次:歌川広重)
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佐夜中山
現在の静岡県掛川市。西行法師が新古今集で「年たけて また越ゆべしと思ひきや 命なりけり佐夜の中山」と詠ったことで知られる。その急勾配の坂は東海道の難所の一つであった。急峻な坂道は駕籠かきも商売にならない。坂下の石は、金谷宿の夫を訪ねる途中に山賊に殺された妊婦の霊が乗り移ったとされ、夜中に泣き声が聞こえてくるとの謂れから「夜泣石」と呼ばれた。後に妊婦の赤子は村人に助けられ、飴で育てられたといい、以来「子育て飴」はこの地の名物になった。石には「南無阿弥陀仏」と刻まれていた。旅人の涙をさそう話である。幾重にも重なる山のたたずまいは、険しい峠越えの様子を強調している。
〈参考サイト〉
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