52. 石部 目川ノ里(東海道五十三次:歌川広重)
-
-
田楽で有名な「いせや」
現在の滋賀県湖南市。宿場と宿場の間にある休憩所を立場と呼び、そこには名物を出す店があった。本図にも立場の茶屋の様子が描かれ、店の暖簾には「いせや」の文字が見える。『東海道名所図会』には目川にある青菜を炊き込んだ菜飯と田楽豆腐が名物の「伊勢屋」が紹介されており、広重はそれをそのまま取り上げている。店には活気があり、前を通る一行の中の一人の男性が、前を行く女性を呼び止める姿がいかにも滑稽である。木や山の様子からは、早春の静けさが感じられる。ぼかしの多用によって絵に変化と柔らかさを与える手法は、広重の得意としたところで、その特徴は本図にも見られる。
〈参考サイト〉
アダチ版画研究所「歌川広重「東海道五拾三次 石部 目川ノ里」」(https://store.adachi-hanga.com/products/uk_hiroshige064?srsltid=AfmBOoq-C2u7Kj7O_-KaArB3M-jNnb9WHeVyTjGfqO4g7d8oK1PxbouT)
東京富士美術館「東海道五拾三次之内 石部 目川ノ里 | 歌川広重 | 収蔵品詳細」(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/04372/)
知足美術館「石部 目川ノ里|東海道五十三次」(https://chisoku.jp/tokaido/51_ishibe/)
-
関連記事