51. 水口 名物干瓢(東海道五十三次:歌川広重)

山村のほのぼのとした日常

 現在の滋賀県甲賀市。水口の名物である干瓢作りの模様が描かれる。干瓢は夕顔の実の果肉を細く剥き、天日に干して作られる。左側には筵の上に座り一心不乱に包丁を入れる女性の姿が見える。水口では干瓢作りが女性の労働だった。奥の赤子を背負う娘は次に切る夕顔を持ち、手前の娘は細く剥かれた夕顔の実を丁寧に干している。右奥にも立てられた葦簀に夕顔の実を干す女性がおり、こうした女性たちの勤勉な姿から山村のほのぼのとした日常を垣間みることができる。奥にある集落の様子から閑静な農村であることがわかる。干瓢作りは、そもそも水口城主であった加藤氏が下野(栃木県)から移入してきたおりに奨励し、特産物にしたといわれている。

〈参考サイト〉

アダチ版画研究所「歌川広重「東海道五拾三次 水口 名物干瓢」」(https://store.adachi-hanga.com/products/uk_hiroshige063?srsltid=AfmBOor1STx8R6V0jGL1IGDuY4mEXtrYCqnyGlPZLKEy8GtQs8lm7ins

東京富士美術館「東海道五拾三次之内 水口 名物干瓢 | 歌川広重 | 収蔵品詳細」(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/04371/

知足美術館「水口 名物干瓢|東海道五十三次」(https://chisoku.jp/tokaido/50_minakuchi/

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